道尾秀介「月と蟹」を読みました
あけましておめでとうございます。
さて、新年一冊目は直木賞受賞作の「月と蟹」でございます。
主人公の慎一きゅん、友達の春也きゅん、ヒロインの鳴海ちゅわんが織りなす、
ドロドロ沼の三角関係のお話(※)です。
※主要人物全員、小学生です。
さらにいうなら、慎一きゅんの親や祖父、鳴海ちゅわんの親もかかわってくるため、
人間関係も立体的なので、
老若男女入り混じったドロドロ団子話と
いえなくもないです。
今の流行に乗り、ポケ〇ン新作のタイトルっぽくいうならば、
ムーン アンド キャンサー(※) です。
※月と蟹
とはいえ実はこのお話、ポ〇モン要素が強い物語だったりします。
ヤドカリをゲット(だぜ!)しては、燃やしたりしますし、
自分たちで作った潮だまり(水たまりの塩水版)のなかにゲットしたポケモン生き物を入れたり、そこから取り出したりします。
この小説、
小説版ポケモ〇と表現したって構やしない。
だって、インターネットは自由だから…。
少年少女時代をテーマとした物語としては、名作「夏の庭」がございますね。
「夏の庭」は、少年たちがひとりの孤独な老人と出会い、みずみずしい感性をぶつけあって成長し別れを経験する、ひと夏の清らかな風を思わせる作品となっています。
いっぽう「月と蟹」では、大人の都合や大人の汚さを塗り付けられながらも懸命に自分たちで消化し、生き抜こうとする姿が描かれています。
「夏と庭」を蒸留酒にたとえるなら、
「月と蟹」はどぶろくといえましょう。
どっちも美味いです。
「月と蟹」とてもおもしろかったです(小学生並みの感想)。